第11回 取材に行ってみよう
- #編集
取材は準備が8割
先日、今年4月からフリーアナウンサーになられた方がYouTubeに登場されて、取材ノートを紹介されていました。ぎっしりと情報が下準備されていて、始めの一言を何と言うかまで決めておられました。でも、予想してなかったことも起きるそうで、そういうときは「あ〜っ!」という言葉しか出なかったともおっしゃっていました。「わかる〜!」と思いながらYouTubeを観ましたよ?!
私も、取材をするときは、いろいろ下調べをして、主な展開を想定しておきます。聞きたいことの箇条書きも作っておきます。その準備が取材成功の8割を握っていると思います。また、初対面で心を開いていただくのも大事。ちょっとした感想を言って「共感する」ことで、本当の気持ちを話してくださることが多いのです。
それには取材対象に興味を持たなければできません。どんな人なんだろう? どういう気持ちで取り組まれたのだろう? もし、自分だったら…、と、アンテナを張るのですが、ときどきなかなか心を開いていただけないこともあり、取材は毎回緊張します。取材対象の方がおっしゃった言葉を別の言葉に置き換えて、「こういうことですよね?」と返すと、「そうです」とか「いや、そうではなくて」と、深い取材ができます。
ボイスレコーダーは「お守り」
テレビドラマなどで、ボイスレコーダーを机の上に置いて取材、というシーンがよく見られますが、私は「ボイスレコーダーは『お守り』程度」と思っています。2時間取材すると聞き直すのに2時間かかるし、テープ起こしをするとさらに何倍もの時間を費やします(講演会の記録はもちろんテープ起こしします)。再生してみたら、取材時には気にならなかったけれど雑音が入っていて聞き取りれなかったということもあります。一番怖いのは、録音したつもりで録音できていなかった場合です(あるんですよ、こういうケース)。なので、「ボイスレコーダーに頼らない」というのは鉄則です。
取材中は猛スピードでメモを取るし(自分なりの略号・記号も使いつつ)、大事なところには丸をつけ、疑問点は抽出し、頭の中は次の質問を考えているし、で、頭も手もフル回転です。それでも、難しい単語や年号などをメモしきれないときがあるため、念のためボイスレコーダーを回しておき、その部分だけ再生して確かめるということもあります。
取材が終了した時点で構成は決まっている
最初の編集部が週刊紙だったせいもありますが(日刊紙はもっと大変なんだろうな)、取材したらすぐに記事を書くというのが当たり前でした。取材しながら原稿の構成を考えて、取材が終わった時点でだいたいのプロットは頭の中に描かれている状態にします。その日のうちに必ずメモを見直して、取材内容を整理しておきます(私はテキストエディタにどんどん打ち込んでいく)。そうしないと、一度睡眠を取ると、いろんなことを忘れてしまうからです。
なるべく具体的に
取材の項目は事前にノートの始めのページに箇条書きをしていて、それをチラチラ見ながら質問をしていくのですが、事前に想定していた話と違ってくることもあります。そういうときは仮説として作っていたストーリーを臨機応変に変更して、組み立て直します。また、たとえば「がんばりました」と一言で片付けるのではなく、「毎朝早起きして1時間トレーニングをした」「問題集を何冊解いた」など、「がんばり」を具体的に表したり、「悔しかった」だけではなく、「当時の悔しさを思い出したのか、くちびるをぎゅっと結んでいました」等、形容することでイメージが湧くようにするために、「がんばったとおっしゃっていましたが、具体的にはどういうことをされましたか?」という質問を投げかけたり、相手の表情を観察したりします。
ちなみに私は、テレビニュースでよく使われる「とても印象的でした」という感想があまり好きではありません。「どう印象的だったのか話して!」といつも思うのです。「これまで懸けてきたものが実現したのがわかった」「思わず自分も涙しそうだった」「うれしさが伝わってきて私の口角も思わず上がっていたと思う」などという言葉でちゃんと伝えてほしいな〜と思います。
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