ジョン万次郎が眠る―雑司ヶ谷霊園掃苔録(1)
- #池袋
NHKの朝ドラ「らんまん」で、中濱万次郎(ジョン万次郎)さんが登場されて、主人公の万太郎にとっても田邊教授にとっても「恩人」となっていましたね。宇崎竜童さんが渋い演技をなさっていました。実は、中濱万次郎さんは高知のご出身ですが、東京は豊島区の雑司ヶ谷霊園に眠っていらっしゃいます。早速お墓を訪ねてみました。
ジョン万次郎さんは、wikiでは「江戸時代末期から明治にかけての日本の旗本・翻訳家・教育家である。アメリカ合衆国を訪れた最初の日本人の一人であり、日米和親条約の締結に尽力した。通訳・教授などでも活躍した。」と紹介されています。英語が堪能な理由は、少年のとき、足摺岬(高知県)沖で遭難し、無人島の鳥島に漂着。その後、アメリカの捕鯨船に助けられてアメリカ本土に渡ったからです。
当時日本は鎖国の時代。なかなか日本に帰れず、帰国できたのは漂流から11年経ったとき。帰郷後すぐに土佐藩の藩校「教授館」の教授に任命され、ペリーが江戸に来航したことをきっかけに幕府に招聘されて、通訳として条約締結の交渉をおこなっています。
明治維新後は、開成学校(現・東京大学)の英語教授に任命されますが、そのとき「らんまん」の田邊教授を教えたのでしょうか? 明治31(1898)年に71歳で亡くなり、雑司ヶ谷霊園に眠っています。
「正五位 中濱萬次郎翁記念碑」が立っています。「正五位」という位は昭和3(19828)年に贈与されています。
私は小学生のとき井伏鱒二さんが書かれた「ジョン万次郎漂流記」で彼の生涯を知り、遭難してから帰国するまでの物語をわくわくドキドキして読んだ記憶があります。その方が、後に住むことになった雑司が谷の霊園に眠っていると知ってお墓を訪ね、「物語の中だけの人じゃなくて、本当にいた人なんだ!」と、とても身近に感じたものです。
みなさんも機会がありましたら、ぜひお訪ねください。(地図は霊園事務所でいただけます)