上毛印刷株式会社

第5回 予算を考えながら進めよう

第5回 予算を考えながら進めよう

2023年12月13日
編集のはなし
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さまざまな経費がかかる
先日お話した「映画『男はつらいよ』撮影現場イラストルポ」の企画の場合は、撮影所への交通費とイラスト代の他、撮影写真のフィルム・現像代(今はデジタルになってそれらは不要ですが)程度の予算で済みましたが、記事の内容によっては、作家さんにコメントいただくときの原稿料、写真を借りるときの料金、など、さまざま予算がかかります。それも含めての企画書です。最近の話ですが、情報誌の編集で、お客様から「記事の中に俳優さんの写真を入れてほしい」というご要望が出され、そのドラマのワンシーンの画像を放送会社から借りるために、4万円以上お支払いしました(掲載を予定していなかったので、想定外の出費…)。

遠方への出張が必要なときは、飛行機代や宿泊代も含めての予算が必要です。仮払いで先に経理から現金をもらって、後で精算するという方法を取ることもあります。私が週刊新聞の編集部にいたときは、この「仮払いの精算」をいつまでもしない記者もいて、経理部からしょっちゅう苦情が来ていました。企画を通したい記者とそこまで予算を出せないというデスクとのせめぎあいもしばしばでした。

世間の相場は把握しよう
カメラマンに1日頼めばいくらくらい、ライターさんには何文字でいくらか、取材が入ればさらにいくらかかるのか、世間の相場は把握しておいて、立てる企画でこのくらいの予算が必要という大枠は企画書に盛り込む必要があります。予算に決裁が降りなければ企画そのものがボツになるからです。お金と時間をかければそれなりの企画にはできます。けれども、限られた予算と締め切りという制約の中で、企画を練り、実現していくことが求められるのが常です。企画と予算立ては同時並行と思って下さい。

企画にはいろいろな予算がかかります

エディトリアルデザインにもそれなりの予算は必要ですし、イラストを頼む、パースを頼むとさらに予算は上積みされます。アニメーションコンテンツでは、イラストレーター、アニメーター、ナレーター、ナレーション収録スタジオ代等々、積み重ねるとそれなりの予算となっていきます。

準備段階の予算も計上する
このとき、準備段階の予算にも考慮が必要です。資料を購入する必要もありますし、調べ物をするときに遠方へ行く交通費もかかります。絵本作家のインタビュー記事を5週連続で書いたことがあります。企画の段階で、どの絵本作家さんに登場してもらうか決めるために、さまざまなジャンルの作家さんの絵本をそれぞれ複数冊買ってきて、読んで企画を立て、「俳優手帳」(俳優さんや作家さんの所属プロダクションの住所や電話がまとめてある本。インターネットの時代の今はもうないかな?)を見て連絡先を調べ、電話をしたり手紙を書いたりして取材OKをもらい、企画の詳細を練っていきました。

もちろん、取材当日には絵本を持参してサインをいただいてきたのですが、それらの絵本は会社の経費なのに結局私の私物となり、「役得〜!」と思っちゃいました。(何年か後、自分の子どもにそれらの絵本の読み聞かせをした)

このときの一番の思い出は、「スーホの白い馬」の作家、赤羽末吉さんです。大陸の地平線の雄大さを子どもたちに伝えたかったそうです。「私は作家とかいう大げさな者ではなくて、ただのイラストレーターなんですよ」ととても謙虚な方で、記事にはならなかったさまざまなお話が、心に残っています。

二代目カープ女子

二代目カープ女子

長年編集に携わってきました。紙、Web、媒体は何であれ、コンテンツをどのように料理するか考えるのが好きです。 カープ大好きおばさん。球場で応援するのが、最大のストレス解消方法!


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