第7回 大切にしたい「一次情報」
- #編集
皆さま、本年もよろしくお願いします。
取材の楽しさ
私は、編集者の醍醐味は「一次情報」を得ることができることだと思っています。 誰かが書いた本や資料(二次情報)で編集するのではなく、たとえ短い文章であっても、それなりの時間をかけてインタビューして「一次情報」を得ることは大事です(記事の位置付けにもよりますが)。インタビューで面白い話やオフレコの話を聞くこともありますが、すべてを公表できるわけではなく、10の取材が10の記事にはなりません。文字にすることができない情報、スペースの関係で載せることのできない話など、たくさんの貴重な話が聞けて、「役得!」って思うほどです。
有名な人でなくても、志を持った人には、その人なりの魅力があります。たいていの人は「俺が!俺が!」という主張はなくて、自分の気持ち、周囲の気持ちを大事にして、静かに闘志を燃やしています。そういった姿勢を紹介することで、世の中の多くの方々に共感や勇気を広げていければ、という思いで取材をさせていただいています。
自分という「フィルター」がある
すでに他界している歴史的な人物は仕方ないとして、現在活躍中の方にはなるべくお会いして生の声を聞くこと、文章として表現することが許されなくても、行間にその方の「姿勢」をにじませるには、直接お話を聞くのが一番、と思います。そういう「一次情報」は自分しか持っていないもので、他人が書いたWEB記事や書籍からは得ることができません。
ですから、取材のときには、その方の立場に立って聞き出していく作業を行います。また、「自分だったらどうしただろう?」「私とは感性が違うかな?」などと思いながら質問をしていきます。署名記事ではなくても、そうした「取材相手」と「書き手」のニュアンスがにじみ出るものです(事実を語る報道記事は別ですが)。どの事実を取り上げるか、どういう単語で表現するかにも自分の人格が反映されると思っています。
そういう意味では、文章を書いた後、「自分視点になりすぎていないか」「ひとりよがりになっていないか」を確認することが必要です。取材という仕事は、「自分というフィルターを通して相手になってみる」ことかもしれません。
そうはいっても、どうしてもWEB記事や書籍を参考にすることもあります。そういう場合は、脚注に「参考文献」を記載する必要がありますし、引用するときは「(かっこ)」をつけて、引用元も記載します。これをきちんとしないと「盗用」などと言われてしまいますし、それが公になったときに社会的信頼を失ってしまうので、気をつけてください。
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