第17回 校正・校閲をしっかりと(2)
- #編集
文字は「読む」のではなく「見る」
「校正」のときは、「文字を読む」のではなくて、「文字の形を見る」ことが大事です。OCR(手書き文字の読み取り)を行ってテキストを起こした場合は特に、たとえば「自動」が「白動」になっていたりして、読んでしまうと見落とすことがあるからです。活版だったころは、「ー(音引き)」が180度回転していることもあり、ゴシック体でそれを見つけるのは至難の技でした。デジタル化した今は、文字が回転することは、算用数字や欧文くらいなので、そこまで目を皿にすることはないのですが、それでも音引きは「―(ダッシュ)」になっていることもあるので、気をつけなくてはいけません。
基本的には「原稿通りに組む」ものなので、原稿通りだった場合は間違っていてもそのままにしておいて、原稿に付箋を付けて「これでいいでしょうか?」と尋ねます。判断は著者や編集部が行うべきだからです。特に文学的な作品は作家が意図的に用語を統一していないケースもあるので、勝手に修正してはいけません。
さらに踏み込んで校正することも
「編集」の視点を持つと、さらに踏み込むこともあります。内容を理解し、読者が理解できるように、読んで意味のわかりにくかった箇所は別の表現方法を提案することもあります。年号表記(西暦と和暦が合っているか、それが正しい年代表記か)などを調べて、疑問がある場合は、付箋を貼って提案します。どこまで踏み込むかは、それぞれの仕事でいただいた役割によりますが…。
言葉は日々新しく生まれるし(流行語大賞みたいに)、もちろん日本語が全部理解できているわけではないので、常に勉強が必要です。私は毎日新聞「毎日ことばplus」のX(旧Twitter)をフォローしていて、新しい知識を入れています。たとえば「まざる」の使い分け。「交ざる」は「とけあわないまざり方」、「混ざる」は「とけ合うまざり方」という使い分けをすることなどはここで知りました。ときどきクイズがあったり、はたまた校閲センターが見逃した事例なども紹介されていて「プロでも見逃すことがあるんだ」と親近感が湧いたり(やっぱり誤植を出すと落ち込むので)、動画による講座も開催されたりなどとても役に立っています。皆さんもぜひフォローしてください。
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