第15回 文章の書き方、音声の基本
- #編集
文章を統一すること
この連載の第2回で述べた新人の頃の思い出で「『記者ハンドブック』の用字用語(新聞で用いることができる漢字や、送り仮名等の基準)を覚えなくてはいけない」と話しましたが、企画を詳細化していくとき、こうした「ハンドブック」を参考に、最初に「文章の基本」を決めることが大事です。
・「です。ます。」体か、「である。だ。」体か。
・用語の統一は何を基準にするか。たとえば、同じ記事の中に、「m」表記と「メートル」表記、「子供」表記と「こども」表記が混在しないように用語を統一していきます。
・その場合でも、署名記事のときは、本人が書いた漢字や表現を優先する。(たとえば、動植物の名称は原則として片仮名ですが、著者が「松茸」とか「鯨」とか書かれていても特に修正はしません)
何をどのように統一するかは、ぜひ「記者ハンドブック」(私は共同通信社発行のものを使っていますが、朝日新聞版もあります)をしっかり読んでください。迷ったらすぐ調べるのが基本です。
一昨年ある学園の「100年史」の編集に携わったときは、「一人一人→一人ひとり」「6年間→六年間」など、たくさんの「決まり」を作って一覧にしましたが、膨大なページ数の、さまざまな執筆者の原稿を統一していく作業はなかなかに大変でした。今はデジタルのテキストデータがありますから、コツコツと検索をかけて確認していけば見落としはなくなりますが、昔は手書き原稿だったので、ていねいに目を通すしかなかったのですよね。根性が必要でした(遠い目)。
音声の基本
ナレーション録りのときは、もっと大変です。私は地方出身者なので、イントネーションの正しさがわからないのです。「B’z」は、つい「ビーズ(平たく言う)」と言ってしまいがちですが、「ビーズ(「ビ」にアクセント)」が本当なのですね。「10個」は「じゅっこ」ではなく「じっこ」とか、読み方のルールもあります。私たちはNHKの「NHK日本語発音アクセント新辞典」を基本にしています。
ITに関するコンテンツの音声収録のときは「『コンピューター』なのか『コンピュータ』なのか、「『データー』なのか『データ』なのか」も決めました。(クライアントさんと合意します)「『computer』は語尾に『r』が付くので『コンピューター』」、「『deta』は語尾に『r』が付かないので『データ』」となりました。(これは、印刷物の表記でも同じです)
こういった「用語の統一」「イントネーションの統一」は、お客様の方から提案されることはないので、最初の段階で、「このような方針で行きたいと思いますが、いかがでしょうか?」と確認を取っておくことが大切です。