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池袋ものがたり:旧江戸川乱歩邸リニューアルオープン

池袋ものがたり:旧江戸川乱歩邸リニューアルオープン

2025年06月04日
池袋ものがたり
  • #池袋

池袋の代表的な作家
「池袋の作家」と言えば、この方。そうです! 日本屈指の推理作家、江戸川乱歩(明治27[1894]年10月21日 〜 昭和40[1965]年7月28日)です。若い方はアニメ「名探偵コナン」の主人公「江戸川コナン君」の名前でご存知かもしれませんね。私のような年配者は、子どものころ江戸川乱歩の探偵小説をたくさん読んで、明智小五郎や小林少年にハラハラドキドキさせられたものです。同級生の小林くんに「小林少年」というあだ名がつくほどでしたから。

江戸川乱歩

江戸川乱歩の本名は平井太郎さん。なんと池袋に31年もお住まいでした。明治27(1894)年三重県名張で生まれ、旧制愛知県立第五中学校(現・愛知県立瑞陵高等学校)を卒業後、早稲田大学に進学。卒業後は仕事を転々としながら作家をめざし、大正12(1923)年に『新青年』に掲載された『二銭銅貨』でデビューします。引っ越しばかり(なんと46回も!)されていたのですが、昭和9(1934)年に池袋に住んでからはずっとそちらにお住まいになりました。

江戸川乱歩DAY

パンフレット

改修工事のため2024年1月より休館していた「旧江戸川乱歩邸」(立教大学池袋キャンパス敷地内)の一般公開を2025年5月19日(月)より再開するにあたって、2025年5月15日から「としま乱歩フェス2025」が立教学院・東武百貨店の主催(協力:豊島区)にて開催されています。

5月18日(日)には、立教大学にて、「江戸川乱歩DAY」が開催されたので、行ってみました!

立教大学

プログラムは、
(1)映画『名探偵コナン 乱歩邸殺人事件』上映会+トークショー「名探偵コナン」と乱歩の邂逅
(2)公開シンポジウム「戦後80年 江戸川乱歩と戦時下の豊島区」
(3)江戸川乱歩ビブリオバトル「もっと乱歩の世界へ」
(4)江戸川乱歩にまつわる飲食物の販売
旧江戸川乱歩邸のリニューアルオープン前先行公開も行われました。

公開シンポジウム「戦後80年 江戸川乱歩と戦時下の豊島区」
私は、池袋と江戸川乱歩の関係を知りたくて、公開シンポジウム「戦後80年 江戸川乱歩と戦時下の豊島区」に参加。「江戸川乱歩旧蔵戦時下資料について」、「戦時下の乱歩と豊島区」の講演を聴きました。

講演の様子

太平洋戦争が始まった昭和16年頃から出版への検閲が強まり、乱歩は執筆できなくなります。その頃から、「隣組」「大政翼賛会」など戦時下の組織が生まれ、町内会も戦争体制となっていきます。乱歩は町内会に参加し、隣組の防空群長や町会副会長となり、防空訓練の指導や公平な配給などに奔走します。その中で、組織運営の経験を積み、人前に出ることに慣れていき、地元での人脈を構築します。

戦後は一度公職追放されますが、解除対象者であることが認められ、その後は、日本のミステリー・探偵小説を牽引していきます。

会場には、豊島区民を始め多くの方が参加していました。

江戸川乱歩にまつわる飲食物の販売も

ケータリング

「江戸川乱歩ビブリオバトル もっと乱歩の世界へ」も盛況

ビブリオバトル

旧江戸川乱歩邸のリニューアルオープン
江戸川乱歩の邸宅は立教大学に隣接しています。2002年に邸宅と旧蔵書、資料を立教大学が譲り受け、2006年に江戸川乱歩記念大衆文化研究センターを設立。以来、センターでは旧邸宅、蔵書、資料、遺品などの管理・保存・公開を中心に、刊行物や展示、イベントなどの実施を通して幅広い大衆文化研究の成果の公開および社会還元を行っています。

このたびのリニューアルで、貴重な資料を閲覧できる展示室や、当時の暮らしを再現した展示スペースなどを新設。江戸川乱歩が後半生を過ごした地で、乱歩の暮らしや作品の背景に触れることのできる施設として新たに生まれ変わりました。(立教大学ホームページより)

太平洋戦争時の城北大空襲(1945年4月13日)では、立教大学と平井家は焼け残ったため、貴重な資料が残されているのです。

旧江戸川乱歩邸

【旧江戸川乱歩邸】
開館日:月、水、金曜日(祝日の場合は休館になります。)
通常開館時間:10時30分~16時00分
無料・予約不要
開館日時は変更となる場合がありますので、最新の情報はこちらをご確認ください。
https://www.rikkyo.ac.jp/research/institute/rampo/

「乱歩フェス」は、6月30日まで開催されていますので、ご興味のある方はぜひ!

東武百貨店の「としま乱歩フェス2025」の案内→https://www.tobu-dept.jp/ikebukuro/event/detail/7751/

小説「乱歩と千畝」
5月15日には小説「乱歩と千畝」(青柳碧人/著:新潮社)が出版されました。江戸川乱歩と「日本のシンドラー」と呼ばれる杉原千畝は、愛知五中〜早稲田大学の先輩後輩なのですが、それにヒントを得て「2人がもし会っていたとしたら」という物語です。お2人とも池袋にお住まいだったことがあるというのも何かの縁ですね。

「乱歩と千畝」

「大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」──泣ける傑作」(新潮社ホームページより)

2人の活躍が映画のように見えてくる本です。江戸川乱歩を知るためにとっておきの1冊ではないでしょうか?
作者の青柳碧人さんが、Xのスペースでこの本を書いたきっかけなどをお話されています。
https://x.com/aoyagi_/status/1923212517255364697

雑誌「東京人」も乱歩特集!
6月3日に発売された雑誌「東京人」(2025年7月号)では、「乱歩、その資料の迷宮へ」というタイトルで特集が組まれています。乱歩は戦前から戦中、戦後までさまざまな資料をスクラップしており、「貼雑年譜」と名付けていました。その自伝資料を手がかりに、江戸川乱歩/平井太郎が歩んだ道と素顔に迫ります。俳優の佐野史郎さんと落語家の柳家喬太郎さんの対談も!

東京人

江戸川乱歩から目が話せませんね!

二代目カープ女子

二代目カープ女子

長年編集に携わってきました。紙、Web、媒体は何であれ、コンテンツをどのように料理するか考えるのが好きです。 カープ大好きおばさん。球場で応援するのが、最大のストレス解消方法!


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