第7回 みんなが使えるWEBページに(2)
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先陣を切った富士通さん
2002年6月24日の富士通さんのニュースリリースで「富士通株式会社では、インターネットコンテンツを、身体に障害のある方や高齢者にとっても、アクセシビリティの高いものにしていくことを推進するために、『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針』を策定いたしました」と発表されたのですが、WEB制作に携わる私たちは当時この指針を参考にしてWEBアクセシビリティを実装していきました。
その後、2004年に「高齢者・障害者等配慮設計指針」として「JIS X 8341-3:2004」が初めて制定され、2008年にW3C(World Wide Web Consortium)という国際的なインターネットの標準化を推進するコンソーシアムが、「WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)2.0」という「WEBアクセシビリティ確立のガイドライン」を勧告しました。富士通さんは早くからWEBアクセシビリティに取り組まれたのですね。2016年には日本のJIS規格も「WCAG 2.0」の国際規格化を受け、「JIS X 8341-3:2016」に改正しています。
その後、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が2016年末に主催した「第4回Webグランプリ」で、NECさんが「浅川賞(アクセシビリティ賞)」を受賞するなど家電企業が先進的なのは、家電の開発において「ユニバーサルデザイン(どんな人でも使いやすい仕組みにデザインすること)」が欠かせないからではないでしょうか?
※W3CはWebで用いられる各種技術の標準化を推進する目的で設立された非営利の標準化団体。ミッションは、長期的にWorld Wide Webの成長が確実となるよう、関連するプロトコルとガイドラインを開発すること。約30カ国の400弱の企業、大学、研究機関、非営利団体等の組織が参加している。
また、2016年4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)を受けて、行政機関や地方公共団体はWebアクセシビリティに配慮したWebサイト構築を進めています。たとえば、内閣府には「ウェブアクセシビリティ」というページ(https://www.cao.go.jp/notice/webaccessibility.html)があって、アクセシビリティ方針とその検証結果を公表しています。そこでは「JIS X 8341-3:2016の適合レベルAAに準拠する」とうたわれています。「レベルAA」って何でしょうか?
実装チェックリストがあります
「WEBアクセシビリティ」には等級(レベル)があって、「最低限これだけは実装しよう」という「A」から、「AA」「AAA」まであるのです。たとえば「A」は「画像にはalt属性を入れて、テキストで読み上げられるようにしましょう」といったもの、「AAA」では「映像コンテンツには手話通訳を付けましょう」というものです。さまざまな人に情報を提供する行政機関は「レベルAA」の実装が求められますが、通常は「レベルA」を実装すればいいと言われています。また、現在のブラウザやHTMLコーディングソフトなどは、意識しなくても「レベルA」は実装できるように作られています。
とはいえ、実際に制作するホームページが「WEBアクセシビリティ」をどの程度考慮するのかどうかについては意識した方がいいですよね。どういう実装をすればいいかについては、「日本アクセシビリティ普及ネットワーク」のホームページに、JIS規格や等級(レベル)について詳しく載っています。
●「日本アクセシビリティ普及ネットワーク」(http://jis8341.net/index.html)
また、実際に書いたHTMLがW3Cの規格に適合しているかどうかチェックできるバリデーターもあります。
●バリデーター(https://validator.w3.org/unicorn/?ucn_lang=ja)
皆さんが開設するホームページではどのレベルのWEBアクセシビリティを実装するのかを考えること、そして制作したらチェックするということが大切だと思います。